プログラム

<講演会報告>

平成24年度第1回日本塗装技術協会セミナーを終えて
 平成24年度第1回セミナーは、6月22日に『頑張ろう!日本の塗装現場− 塗装工場再建へのゴミ不良対策事例 −』と題し、日本ペイント株式会社殿東京事業所センタービルAホールにて開催されました。東日本大震災で被害を受けた塗装工場で、再建の為、現場で頑張る塗装技術者の皆様方へのエールの意を込めて、再建後のコスト競争力を高めるゴミ不良対策の数多くの実例を、御講演頂きました。お陰様で、当セミナー過去最多となる、150名近くの参加を頂き、盛況のうちに終了する事ができました。この参加人数の多さから、いかに塗装現場で、皆さんがゴミ不良に悩まされているのかを、改めて知る事となりました。

講演風景

 ゴミ不良に立ち向かうには、敵を現場で直接把握するための見る技術、直接間接的に何者かを同定する分析技術、管理におけるQC手法、論理的な対策手段等々を手の内に入れ、これらに基づいた日常管理と、愚直な対策実施が肝要と捉え、セミナーの一連の流れを構成いたしました。また、関係者全員の敵に向う意識改革、工場建設時に盛り込みたい仕様についても、散りばめました。
 第1講、アネスト岩田叶剋R講師からは、ゴミ不良対策とVOC排出量、コストとの関係性を説明頂き、日本塗装機械工業会の活動を認識することとなり、第2講、関西ペイント竃村講師からは、最新の分析技術について説明を頂き、ゴミの同定は元より、以前は同定できなかった、例えばハジキの原因物質を現在は同定できるように成ってきていると、嬉しい情報を頂きました。
第3講、潟Rガネイ深田講師からは、静電気についての基本原理説明から、ゴミ対策に使用されているイオナイザーの特性の詳しい説明が有り、現場で一度はイオナイザーを使用してみて、効果が出なかった経験のある方にとっては、間違った使用、管理の仕方だった事に、ドキッとさせられたと同時に静電気の可能性を考えさせられたと思います。
第4講、ダイハツ工業叶_澤講師からは、バンパー塗装ラインでの、愚直な対策展開で、低コストで高効果を上げた実例を対策のストラクチャーを使用しての判り易い説明を頂き、ゴミ対策に重要なのは、全員の意識変革、モチベーションの高揚が大切な事をも改めて知る事となり、第5講、本田技研工業椛O田講師からは、新二輪塗装工場建設に盛り込んだ、作業工程、塗装工程、乾燥工程のゾーン分けと、工程内気流のマネジメント手法の説明を頂きました。生まれの悪い工場は、その後もゴミで苦労する。生まれの良い工場は、さらにコスト競争力が向上していく事を考えさせられ、これからの塗装工場には、徹底したゴミ対策仕様を低設備投資で実現できる技術の構築の重要性を知った。
第6講、平田技術士事務所平田講師からは、見える化手法について様々な機器での実演と、新たに金網大作戦、無料ソフトでの気流シミュレーションの情報の説明が有った。金網大作戦は、第3講の静電気の説明により効果の裏付がなされると言うハプニングも起こった。
 全ての講師の方々の講演が、確かな知識、技術に基づいた判り易い発表、また、実績に裏付けされた、現場での泥臭く愚直な対策実施事例での発表だった為、参加者の理解度が大変深まり、それが、講演後の活発な質疑、セミナー終了後の交流会での講師への質問攻めへと繋がり、非常に参加者への刺激、活性化を誘発した有意義なセミナーと成ったと見受けられました。
 最後に、今回の講演『塗装工場再建へのゴミ不良対策事例』に参加頂いたことが、皆様方のお役にたてば幸いです。来年度、塗装技術協会は創立50周年を迎えます。今後も皆様方の期待に応える、いや、期待を超えるテーマ企画を提供したいと考えておりますので、是非、今後の日本塗装技術協会セミナーに参加頂けるよう宜しくお願い申し上げます。

平成24年6月26日 第1回セミナー実行委員長 佐藤和之


交流会

主催日本塗装技術協会
協賛日本化学会色材協会日本塗装工業会
日本防錆技術協会表面技術協会日本自動車車体工業会
日本塗装機械工業会日本工業塗装協同組合連合会日本塗料工業会
日本塗料検査協会応用物理学会高分子学会
自動車技術会材料技術研究協会静電気学会
土木学会日本印刷学会粉体工学会
日本金属学会日本建築学会日本建築仕上学会
日本鉄鋼協会日本粉体工業技術協会日本レオロジー学会
腐食防食協会日本油化学会( 順不同 )

 
期日平成24年 6月 22日(金)
会場日本ペイント株式会社 東京事業所 センタービルAホール
東京都品川区南品川4−1−15

参加者 150名
参加費(消費税込)主催、協賛学協会会員15,750円
非会員21,000円
学生参加者3,150円

プログラム

10:00〜10:10 開会の挨拶とガイダンス    日本塗装技術協会 セミナー委員会
10:10〜11:05 講演1 「手吹き塗装のゴミ・ブツ削減の対策事例」
アネスト岩田株式会社
塗装機部マーケティンググループ
グループリーダー 杉山 博英
アウトライン :
手吹きバッチ塗装におけるブース清掃がゴミ・ブツ低減に大きな効果をもたらす事例を紹介します。

11:05〜12:00 講演2 「環境に起因する塗膜欠陥の一般的な分析方法」
関西ペイント株式会社
分析センター 第1部
野村 英治
アウトライン :
塗装現場で発生するブツやハジキ等の微小な塗膜欠陥の観察法や組成分析法について報告する。特に、環境に由来する原因物質の探索法など種々の欠陥発生原因に対応する分析法を中心に説明する。

昼食休憩(50分間)
12:50〜13:45  講演3 「静電気管理によるごみ不良対策」
株式会社コガネイ
開発本部 開発部
深田 佳成
アウトライン :
帯電した塗装対象物へのごみの付着が塗装不良の問題となっている。塗装対象物の帯電電圧の特性と帯電電荷の除去方法の1つであるイオナイザの効果的な使用方法を説明する。

13:45〜14:40 講演4 「バンパー塗装工場での塗装品質改善事例」
ダイハツ工業株式会
生産技術部 技術企画室
主担当員 神澤 啓彰
アウトライン :
自動車のバンパーはボデーと同様に非常に高品質が要求される中で、各工場共に懸命の品質改善活動を実施している
現場が全員参加で、生産技術も一体となった活動の中から成果を得られた事例について報告する

休憩(15分間)
14:55〜15:50 講演5 「honda2輪塗装 ゴミ削減への取り組み」
本田技研工業株式会社
熊本製作所 完成車工場 塗装樹脂モジュール
技術主任 前田 信行
アウトライン :
塗装現場での永遠のテーマであるゴミについて、塗装工程へのゴミ進入防止策としてハード的に取り組んで来た事例を紹介する

15:50〜16:45 特別講演 
「ゴミ不良を無くせ!「見える化」による塗装現場のゴミ対策(バージョン2)」
平田技術士事務所
代表 平田 政司
アウトライン :
塗装工程のゴミ対策には、まず最初にゴミ不良のメカニズムを明らかにすることが解決への近道である。前回平成22年の講演に続き、今回は現場で何が起きているかをダイレクトに観察する「見える化」手法を軸にゴミ不良のメカニズムを解説し、具体的な対策事例を紹介する。

17:00〜18:00 交流会(名刺交換会)  於:2階 食堂


平成24年度セミナー委員会委員名簿

委員長光宗 真司BASFコーティングスジャパン(株)
副委員長佐藤 和之ホンダエンジニアリング(株)
町田 竹雄(株)大気社
実行委員小石 眞純東京理科大学名誉教授
東郷 正彦日本ペイント(株)
高林 勇関西ペイント(株)
高梨 裕幸日本パーカライジング(株)
澤入 泰新日本製鐵(株)
吉原 薫アネスト岩田(株)
中間 信也関東自動車工業(株)
吉田 勝旭サナック(株)
亀岡 俊文いすゞ自動車(株)
諮問委員佐藤 光史工学院大学
松浦 治トヨタ自動車(株)
吉岡 秀久マツダ(株)
名誉委員長田 功一日本ペイント(株)
西條 博之
田村 吉宣いすゞ自動車(株)


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